お役立ちコラム

認知症

 

 《認知症は何かの病気によって起こる症状や状態の総称です。

老化によるもの忘れと認知症はちがいます。》

 

誰でも年齢とともに、もの覚えがわるくなったり、人の名前が思い出せなくなったりします。こうした「もの忘れ」は脳の老化によるものです。しかし、認知症は「老化によるもの忘れ」とは違います。認知症は、何かの病気によって脳の神経細胞が壊れるために起こる症状や状態をいいます。そして認知症が進行すると、だんだんと理解する力や判断する力がなくなって、社会生活や日常生活に支障が出てくるようになります。

 

     老化によるもの忘れと認知症のちがい ※

 

  老化による物忘れ 認知症
原因 脳の生理的な老化 脳の神経細胞の変性や脱落
物忘れ

体験したことの一部分を忘れる

(ヒントがあれば思い出す)

体験したことを丸ごと忘れる

(ヒントがあっても思い出せない)

症状の進行 あまり進行しない  だんだん進行する
判断力  低下しない 低下する
自覚 忘れっぽいことを自覚している 忘れたことの自覚がない

 

認知症は、特定の疾病ではありません。

日常生活における活動を妨げる記憶力の低下や思考能力の低下を伴うさまざまな症状全般を示す用語 

です。

最も多い認知症のアルツハイマー病は、全体の6080%を占めます。

その次に多い血管性認知症は脳卒中により引き起こされるものですが、認知症の症状を引き起こす原因

には、甲状腺機能障害やビタミン不足など、治療法のあるものを含めたさまざまなものがあります。

認知症は「老化」または「老年性認知症」と呼ばれることがよくありますが、これは重篤な精神機能の

低下を老化の一部と見なす一般的な誤解を反映しています。

 

     認知症のほとんどを占める、三大認知症 ※

認知症のうち、およそ半数はアルツハイマー型認知症です。次に多いのがレビー小体型認知症、そして血管性認知症と続きます。これらは「三大認知症」といわれ、全体の約85%を占めています。

アルツハイマー型:50

レビー小体型  :20

血管性     :15

その他     :15

 

 

アルツハイマー型認知症

レビー小体型認知症

血管性認知症

脳の変化

老化斑や神経原線維変化が

馬を中心に脳の範囲に

出現する。脳の神経細胞が

死滅していく

レビー小体という特殊なも

のができることで、神経細

胞が死滅してしいます

脳梗塞、脳出血などが原因

で、脳の血液循環が悪くな

り、脳の一部が壊死してしまう

画像でわかる脳の変化

海馬を中心に脳の萎縮がみられる  はっきりした脳の萎縮はみられないことが多い 脳が壊死したところが確認できる
男女比 女性に多い  男性がやや多い 男性に多い
初期の症状 もの忘れ 幻視、妄想、うつ状態パーキンソン症状 もの忘れ
特徴的な症状
  • 認知機能障害
  • 徘徊
  • とりつくろい など
  • 認知機能障害(注意力・視覚等
  • 認知の変動
  • 幻視・妄想
  • うつ症状
  • パーキンソン症状
  • 睡眠時の異常言動
  • 自律神経症状 など
  • 認知機能障害(まだら認知症)
  • 手足のしびれ・麻痺
  • 感情のコントロールが

  うまくいかない など

経過 

記憶障害からはじまる広範な障害へ徐々に進行する  

調子のよい時と悪い時を繰

り返しながら進行するとき

に急速に進行することもある 

原因となる疾患によって

なるが、比較的急に発症し、段階的に進行していくこが多い

 

《アルツハイマー型認知症とは》

もの忘れから気付くことが多く、今まで日常生活でできたことが少しずつできなくなっていきます。 

新しいことが記憶できない、思い出せない、時間や場所がわからなくなるなどが特徴的です。また、

物盗られ妄想や徘徊などの症状が出ることがあります。

 

原因

ベータたんぱくやタウたんぱくという異常なたんぱく質が脳にたまって神経細胞が死んでしまい、脳が

萎縮して(縮んで)しまいます。記憶を担っている海馬という部分から萎縮が始まり、だんだんと

脳全体に広がります。

 

主な症状

※認知機能障害:新しく経験したことを記憶できず、すぐに忘れます。食事をしたこと自体を忘れてしまうのはそのためです。また、日付、昼か夜か、今いる場所、家族の顔などがわからなくなることもあります。さらに判断する力や理解する力が落ちて、食事を作ったり、おつりを計算することができなくなったりします。

 

BPSD(行動・心理症状):経過中に無為・無関心、妄想、徘徊、抑うつ、興奮や暴力などの症状が現れることがあります。

 

※身体面の症状:進行するまで目立ちません。

 

《レビー小体型認知症とは》

実際にはいない人が見える「幻視」、眠っている間に怒鳴ったり、奇声をあげたりする異常言動など の症状が目立ちます。また、手足が震える、小刻みに歩くなどパーキンソン症状がみられることも  あります。頭がはっきりしたり、ボーッとしたり、日によって変動することも特徴的です。

 

原因

脳の神経細胞の中に「レビー小体」と呼ばれる異常なたんぱく質の塊がみられます。このレビー小体が大脳に広くに現れると、その結果、認知症になります。

 

主な症状

※認知機能障害:注意力がなくなる、ものがゆがんで見えるなどの症状が現れます。レビー小体型  認知症では、最初は記憶障害が目立たない場合もあります。

 

※認知機能の変動:時間帯や日によって、頭がはっきりしていて物事をよく理解したり判断したりできる状態と、ボーとして極端に理解する力や判断する力が低下している状態が入れ替わり起こります。

 

BPSD(行動・心理症状)

・幻視:実際には見えないものが本人にはありありと見える症状です。見えるものの多くは小動物や 人で「ねずみが壁を這い回っている」「知らない人が部屋に座っている」などと、具体的です。また、人形を女の子と見間違ったり、丸めてある洋服を動物と見間違うなどの「錯視」もよくみられます。

 

・睡眠時の異常言動:眠っている間に大声で叫んだり、怒鳴ったり、奇声をあげたり、暴れたりする ことがあります。レム睡眠中に起こしやすいことから、レム睡眠行動障害といいます。

 

※抑うつ症状:気分が沈み、悲しくなり、意欲が低下する症状です。抑うつ症状は、レビー小体型認知症の人の約5割にみられるともいわれます。

 

※身体面の症状

・パーキンソン症状:動作が遅くなったり、無表情、筋肉のこわばり、前かがみで小刻みで歩く、倒れやすいなどの症状が現れます。

 

・自律神経症状:血圧や体温、内臓の働きを調整する自律神経がうまく働かず、身体的にさまざまな 不調をきたします。立ちくらみ、便秘、異常な発汗・寝汗、頻尿、だるさなどがあります。場合に  よっては、めまいを起こして倒れたり、気を失う危険もあります。

 

わかりにくい「レビー小体型認知症」

レビー小体型認知症は、患者さんによって症状の現れ方が異なります。また、時間帯や日によって症状が変動するので、正しく診断しにくい病気です。

そのため、初めにパーキンソン症状が現れて「パーキンソン病」と診断された後に、記憶障害が出てきてレビー小体型認知症とわかったり、逆にもの忘れでアルツハイマー型認知症だと思われた後にパーキンソン症状が現れてレビー小体型認知症と診断されるケースもあります。その他にも高齢者の場合には、うつ病と診断された後、徐々にレビー小体型認知症の症状が現れることがあります。

 

《血管性認知症とは》

脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症です。脳の場所や障害の程度によって、症状が異なります。そのため、できることとできないことが比較的はっきりとわかれていることが多いです。手足の 麻痺などの神経症状が起きることもあります。

 

※原因:脳の血管が詰まる「脳梗塞」や血管が破れる「脳出血」など脳血管に障害が起きると、   その周りの神経細胞がダメージを受けます。脳の画像を見ると、障害の跡がわかります。

 

※主な症状

・認知機能障害:障害される能力と残っている能力があります(まだら認知症)。判断力や記憶は比較的保たれています。「せん妄」が起きで突然認知機能が悪化することがあります。

 

BPSD(行動・心理症状):意欲や自発性がなくなったり落ち込んだりすることがあります。感情の起伏が激しくなり、些細なきっかけで泣いたり興奮することがあります。

 

・身体面の症状:脳血管障害によって、手足に麻痺や感覚の障害など神経症状が現れることがあり  ます。ダメージを受けた場所によっては言語障害などが出る場合もあります。

 

《治るタイプの認知症》

・正常圧水頭症:脳脊髄液が脳室に過剰にたまり、脳を圧迫します。

・慢性硬膜下血腫:頭をぶつけたりしたときに頭蓋骨と脳の間に血の固まりができ、それが脳を圧迫 します。

 

その他、脳腫瘍、甲状腺機能低下症、栄養障害、薬物やアルコールに関連するものなど

 

認知症における物忘れとその他の症状

認知症の症状は大きく異なることがありますが、以下の主な精神機能のうち、2つ以上大きく損なわれると、認知症とされます。

・記憶力

・コミュニケーション能力や言語力

・集中力や注意力

・論理的思考力と判断力

・視覚認知力

 

認知症になると短期記憶が衰え、ハンドバッグや財布を置き忘れたり、支払いや食事の計画・準備と いった日常生活が困難になり、約束を忘れてしまう、あるいは道に迷うなどの問題が発生します。

多くの認知症は進行性で、症状はゆっくりと始まり、徐々に悪化していきます。物忘れを自覚している場合や思考能力に問題があると感じる場合は、放っておかずに医師に相談して原因を特定してください。家族にこのような症状が見られる場合も同様です。治療の可能な疾患かも知れませんし、認知症が疑われる場合でも、早期の診断を受けることで高い治療効果が期待できます。

 

原因

認知症は脳細胞の損傷によって起こります。脳細胞がダメージを受けると細胞間の伝達能力が妨げられます。脳細胞間で通常の伝達ができない場合は、思考、行動、感情に影響が及びます。

 

脳には多くの領域があり、それぞれが異なる機能(記憶、判断、運動など)を司っています。    そのため、細胞が損傷した領域は正常に機能することができません。

 

認知症の種類は、脳のどの領域でどの脳細胞が損傷を受けているかにより異なります。例えば、アルツハイマー病では、特定のタンパク質が脳細胞の内外に多量に蓄積することで脳の健康状態を保つことや、脳細胞間の伝達が困難になります。海馬は、学習と記憶の中枢であり、この領域の脳細胞は最初に損傷を受けることが多くあります。アルツハイマー病の初期症状として物忘れがよく見られるのはこのためです

 

認知症を引き起こす脳内のほとんどの変化は持続的であり、時間とともに悪化していきます。しかし、以下によって起こる思考力の問題と物忘れは、治療や生活習慣の改善により好転する場合があります。

・うつ病

・薬の副作用

・アルコール過剰摂取

・甲状腺機能障害

・ビタミン不足

 

認知症の治療とケア

認知症の治療は、原因により異なります。アルツハイマー病をはじめとするほとんどの進行性認知症の場合、進行を遅らせたり止めるための治療法はありませんが、薬物治療により一時的に症状を改善することは可能です。その他の種類の認知症に処方される薬剤をアルツハイマー病の治療に使用することもあります。また、非薬物療法でも、認知症のいくつかの症状を軽減することができます。

 

新しい治療法を開発し、認知症に効果的に取り組むには、さらに多くの研究資金と臨床試験の参加者が必要です。

 

認知症の危険因子と予防

加齢と遺伝など:認知症の危険因子には変えられないものもありますが、治療や生活習慣の改善で変えられる場合もあるため、脳の健康と認知症の予防に関する研究が続けられています。中でも特に活発な分野は、心血管系の要因、運動、食事などです。

 

心血管の危険因子:脳は多数の血管から栄養を供給されています。体のどこかで血管にダメージを与えるものは、脳内の血管も傷つける可能性があり、脳内の血管の損傷により脳細胞に欠かせない栄養と酸素の供給が奪われます。血管性認知症を引き起こすのが、こうした脳内の血管の変化です。血管性認知症は、アルツハイマー病やレビー小体型認知症を含むその他の認知症と併発することがあります。脳内の血管に生じる変化は、症状の悪化を加速させたり、損傷をさらに重大にする可能性があります。そのため、禁煙や体重管理、血圧維持、コレステロールと血糖値の管理など、心臓の健康を考えた方法は、脳を守るためにも使用できます。

 

運動:認知症の種類によっては、定期的に体を動かすことでリスクを低下できる場合があります。ある研究では運動は脳内の血流と酸素量を増加させ、脳細胞に直接的なメリットをもたらす可能性があると報告されています。

 

食事:食事は心臓の健康を通じて、脳の状態にも大きな影響を与えます。現在最も有力な研究報告では、心臓に良い食習慣は、脳を守ることにも役立つことが示唆されています。その代表として挙げら れるのが地中海式ダイエットであり比較的少量の赤身肉と全粒パン、果物、野菜、魚、貝、ナッツ類、オリーブオイル、その他の良性脂肪を中心に摂取することが推奨されています。

 

認知症になる可能性は誰にでもあります。私たちと同様、認知症を患った方々の心情も様々です。  また、「認知症の本人は自覚がない」という考えも大きな間違いであり、最初に症状に気づき、誰よ り一番不安になって苦しむのは本人なのです。

認知症の人は理解力が落ちているものの、感情面はとても繊細です。あたたかく見守り適切な援助を 受ければ、自分でやれることも増えていくでしょう。認知症という病気を理解して、さりげなく自然 で優しいサポートを心がけましょう。

 

「認知症」の人のために家族が出来る10ヵ条

1.見逃すな「あれ、何かおかしい?」は、大事なサイン。

認知症の始まりは、ちょっとしたもの忘れであることが多いもの。単なる老化現象とまぎらわしく、 周囲の人にはわかりにくいものです。あれっ、もしかして?と気づくことができるのは、身近な家族 だからこそです。

 

2.早めに受診を。治る認知症もある。

認知症が疑われたら、まず専門医に受診すること。認知症に似た病気や、早く治療すれば治る認知症もあるのです。また、適切な治療や介護を受けるには、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症などをきちんと診断してもらうのは不可欠です。

 

3.知は力。認知症の正しい知識を身につけよう。

アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症では、症状の出方や進行、対応が違います。特徴をよく知って、快適に生活できるよう、その後の家族の生活や介護計画づくりに役立てましょう。

 

4.介護保険など、サービスを積極的に利用しよう。

介護保険など、サービスを利用するのは当然のこと。家族だけで認知症の人を介護することはできま せん。サービスは「家族の息抜き」だけでなく、本人がプロの介護を受けたり社会に接したりする大事な機会です。

 

5.サービスの質を見分ける目を持とう。

介護保険サービスは、利用者や家族が選択できるのが利点。質の高いサービスを選択する目が必要です。また、トラブルがあったときは、泣き寝入りせず、冷静に訴える姿勢を持ちましょう。

 

6.経験者は知恵の宝庫。いつでも気軽に相談を。

介護経験者が培ってきた知識や経験は、社会資源の一つ。一人で抱え込まずに経験者に相談し、共感し合い、情報を交換することが、大きな支えとなります。

 

7.今できることを知り、それを大切に。

知的機能が低下し、進行していくのが多くの認知症です。しかし、すべてが失われたわけではありま せん。失われた能力の回復を求めるより、残された能力を大切にしましょう。

 

8.恥じず、隠さず、ネットワークを広げよう。

認知症の人の実態をオープンにすれば、どこかで理解者、協力者が手をあげてくれるはず。公的な相談機関や私的なつながり、地域社会、インターネットなどのさまざまな情報を上手に使い、介護家族の思いを訴えていきましょう。

 

9.自分も大切に、介護以外の時間を持とう。

介護者にも自分の生活や生甲斐があるはず、「介護で自分の人生を犠牲にされた」と思わないように 自分自身の時間を大切にしてください。介護者の気持ちの安定は、認知症の人にも伝わるのです。

 

10.往年のその人らしい日々を。

認知症になっても、その人の人生が否定されるわけではありません。やがて来る人生の幕引きも考え ながら、その人らしい生活を続けられるよう、家族で話し合いましょう。

 

最後に否定する対応をしないように気をつけましょう

 

認知症になってこれまでできていたことができなくなると、家族や周囲の人は“認知症だから何もわかっていない”と決めつけがちです。しかし、認知症の人は直前の記憶を失っているだけで、感情は普通どおりにあります。褒められれば嬉しいし、叱られれば悔しい。役に立たないと言われれば悲しくなります。人間なら誰でも持っているこの感情は以前とまったく変わりません。

介護する家族や周囲の人は、この点を踏まえて上手に接する必要があります。

認知症の人の介護をしている人は、つい叱ったり、間違いを正そうと説得したりしがちですが、こうした行為は逆効果を生じてしまう場合があります。行った行為自体を忘れている場合、なぜ叱られているのか、なぜ間違っていると言われるのか、なかなか納得できません。

その一方で、自分が叱られたのだという悲しみや、悔しさばかりが残りがちです。いつも叱られたり、注意されたりすると、その人にネガティブな感情を持ったり、本人がうつ状態になったりすることが多々あります。

まずは、本人の話を否定せず、「そうね」などと話を合わせるのがよいでしょう。話が事実と異なっている場合、認めるべきところを認めた上で、本人が受け入れられる範囲で、「ここは違うのでは」と 訂正できるとよいと思います。

また、認知症の人がやけに乱暴な言動をとるときは、「思うように言葉が出てこない」「意思が伝わらない」「バカにされている」と感じていらだっていることが多いもの。その場は優しく受け流して、 どうすればいらだちがやわらぐのか、原因はどこにあるのか、本人の立場になって考えてみましょう。

 

 



コンサルティング事業

医療・介護事業に関するM&A
コンサルティングはこちら

介護系スクール事業

 平日16日間で取得可能!!
 
介護職員初任者研修講座
       [ 受講生募集中