お役立ちコラム

オプジーボについて

   ※オプジーボについて※

ブレーキを外してT細胞の免疫力を回復させがん細胞への攻撃を助ける治療薬です。

※オプジーボ:T細胞のPD-1と結合して免疫の働きにブレーキがかからないようにする「免疫チェックポイント阻害薬」です。

オプジーボが血液に入ると、T細胞のPD-1と結びつくことでがん細胞との結合が阻害され、かけられたブレーキが解除されます。

こうしたオプジーボの作用によって、T細胞は、妨害を受けることなく、がん細胞を攻撃できるようになるのです。

 

T細胞:血液中を流れている白血球のうち、リンパ球と呼ばれる細胞の一種で、異物から体を守る司令塔となる細胞です。

 

※がん免疫療法の特徴※

これまでのがんの治療は、手術、放射線療法、化学療法が3本柱と呼ばれてきました。これらの治療法は、直接がんを標的にした治療法です。

 

がん免疫療法は、薬が直接がん細胞を攻撃するものではなく、もともと体内に備わっている患者さん自身の「免疫」の力を利用して、がん細胞への攻撃力を高める治療法です。

 

※オプジーボによる治療を受けることができない患者さん※

オプジーボに含まれている成分に対して、以前、アレルギー反応(気管支けいれん、全身性の皮膚症状、低血圧など)を起こしたことがある方は、さらに重いアレルギー反応が出る可能性があるため、オプジーボによる治療は受けられません。

 

※オプジーボによる治療を慎重に検討する必要がある患者さん※

次のような方は、オプジーボによる治療を受けられないことがあります。

・自己免疫疾患にかかったことがある方

・間質性肺疾患にかかったことがある方

・臓器移植(造血幹細胞移植を含む)を受けたことがある方

 

※自己免疫疾患:免疫機能が正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気で、甲状腺機能異常症や関節リウマチ、1型糖尿病などが自己免疫疾患に含まれます。

 

※間質性肺疾患:空気を取り込む肺胞と肺胞の間の間質に炎症が起こる病気です。炎症が進むと空気を十分に取り込めなくなり、命に危険が及ぶおそれがあります。

 

※がんと免疫の関係※

私たちの周りには、細菌やウイルスなどの病原体が無数にあり、体の中に侵入してきます。こうした病原体やがんなどから体を守っているのが「免疫」です。

免疫は、常に体の中を監視していて、自分ではないもの(異物)を見つけると、攻撃して体から取り除いています。また免疫は、がん細胞も異物とみなして攻撃します。

私たちの体の中には、毎日、多数の異常な細胞が発生していますが、通常は免疫の力によって取り除かれているのです。

 

※がんの免疫逃避と免疫チェックポイント※

※がん細胞は免疫の働きにブレーキをかけてその攻撃から逃れています※

がん細胞は、正常な細胞から変化していくなかで、いろいろな特性を得ます。そのなかのひとつが、免疫から逃れる能力(免疫逃避)です。

もともと免疫細胞には、免疫が過剰に働いて正常な細胞も攻撃の対象になることを防ぐためのブレーキとなる制御システムが備わっています。これを免疫チェックポイント機構といいます。

 

最近の研究で、がん細胞は、PD-L1という物質をつくり出し、T細胞に発現している物質(PD-1)と結合して、「働きを止めろ!」という信号を送ることで、T細胞の攻撃から逃れていることがわかってきました。

PD-1PD-L1が結合すると、免疫の働きにブレーキがかかり、がん細胞への攻撃ができなくなります。

 

※がんの免疫逃避について※

がん細胞はT細胞など免疫の力によって取り除かれています。しかし、がん細胞のなかには、免疫から逃れる方法を獲得しながら増殖を繰り返すものがあり、これらが一定以上の塊にまで増殖することで「がん」となります。

 

がん細胞が免疫から逃れる方法は様々です。たとえば、がん細胞は表面に〝目印〟を持っていて、その目印を消したり隠すことによって、免疫の攻撃から逃れています。また、がん細胞は、免疫がうまく働かなくなる物質を出すことで、免疫の攻撃をかわしていることもわかってきました。

 

※がん免疫※

※免疫:免疫は、病気の原因と戦って私たち自身の体を守っています。

ウイルスや細菌など、病気を引き起こすさまざまな原因に囲まれて生活しているにもかかわらず、健康に過ごすことができているのはなぜでしょうか。実はこのことには、病気の原因となっている敵と戦って私たち自身の体を守っている「免疫」と呼ばれているはたらきが深く関係しており、免疫を担当するさまざまな細胞がかかわっています。

 

※役割※

司令塔          ヘルパーT細胞(リンパ球)

実行部隊         キラーT細胞(リンパ球)

B細胞(リンパ球)

遺物に対する最初の攻撃役 NK細胞(リンパ球)

             マイクロファージ

             好中球

情報伝達役        樹状細胞

 

免疫は、自分(自己)と自分ではないもの(非自己)を見分けるところから始まります。体には免疫を担当する専門の細胞がいて、外から侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体や、体内で発生した異常細胞であるがん細胞など、自分ではないものを見つけると、それらを異物とみなして攻撃し、体から取り除きます。

 

免疫は、「自然免疫」と「獲得免疫」という二段構えで体を守っています。

 

※自然免疫:自然免疫は最初の防衛ライン※

二段構えで異物から体を守る防衛体制をとっている免疫のうち、自然免疫は第一段階の防衛ラインです。免疫を担当する細胞が体のなかをパトロールしたときに、「これは自分ではないぞ!(非自己)」とみなした異物があれば、素早く攻撃をしかけます。すなわち、自然免疫は、体のなかであやしい異物に出会うと無差別に攻撃をします。また、細菌やウイルスなどの病原体だけではなく、もともと正常な細胞が変化を起こしてできたがん細胞なども、自分ではない異物とみなして攻撃します。

 

※さまざまな攻撃で異物を駆除する免疫担当細胞※

自然免疫では、免疫を担当する細胞がさまざまな方法で異物を攻撃します。好中球やマクロファージといった細胞は、侵入してきた異物を食べてしまいます。また、ナチュラルキラー(NK)細胞は、すでに病原体に感染してしまった細胞を攻撃して感染が広がるのを防いだり、体のなかで発生したがん細胞を攻撃したりしてがん細胞が増えるのを食い止めています。

 

※獲得免疫へ異物の情報を伝達※

自然免疫は、同じ異物を再び見つけたときに備えて、第二段階の防衛ラインである獲得免疫に準備をさせます。そのためには、攻撃する異物の情報をしっかりと獲得免疫に伝えて、その情報を覚えておいてもらう必要があります。そこで、伝令役である「樹状細胞(DC)」が、獲得免疫を担当する細胞であるヘルパーT細胞やキラーT細胞に、異物の目印である「抗原」と呼ばれるタンパク質の情報を伝えます。こうして獲得免疫が異物の目印を記憶すると、再び同じ病原体が体に侵入してきたり、体のなかで同じ異常細胞が発生したりする場合に、獲得免疫がそれらを素早く攻撃できるようになるのです。

 

※獲得免疫※

※狙った異物を攻撃する第二段階の防衛ライン※

獲得免疫は、異物から体を守るための第二段階の防衛ラインです。免疫を担当する細胞が増えて、非常に多くの細胞が攻撃を始めます。さらに、自然免疫から異物の情報を受け取って記憶し、異物との戦いに備えています。そのため獲得免疫は、初回に攻撃した異物と同じものが2度目に侵入してきた場合や、体のなかの異常細胞を見つけて、素早い免疫反応を起こして体を守ることができるのです。このように、獲得免疫は、異物として記憶されているものと同じ異物を見つけたときに攻撃を開始するため、免疫担当細胞が攻撃する相手の顔つきが、自然免疫よりもはっきりとしています。

 

T細胞やB細胞が異物を攻撃※

獲得免疫を担当する細胞として、主にT細胞やB細胞などのリンパ球が知られています。T細胞にはヘルパーT細胞やキラーT細胞があり、病原体に感染した細胞や、がん細胞などの異常細胞を攻撃して破壊します。B細胞は、抗体という、特定の異物のみを攻撃する特殊な武器のようなものを作り出して異物を破壊します。

 

※がんと免疫※

がん細胞は、体内の正常な細胞の遺伝子が変化してできた異常な細胞で、体内でどんどん増えていこうとします。免疫によって、がん細胞は「自分ではない」異物とみなされ、体から取り除かれています。ではなぜ、免疫があるにもかかわらず、がん細胞が増えてしまうのでしょうか。 実は、がん細胞は自分自身の性質を少しずつ変化させ、免疫による攻撃からたくみに逃れているのです。

 

※がんの発生と免疫※

※免疫によって排除されるがん細胞※

がんは、体のなかの正常な細胞の遺伝子が変化を起こして異常な細胞(がん細胞)となり、歯止めがかからずに増えていって一定の大きさになったときに、初めて「がん」として発見されます。体には、異常をきたした細胞を攻撃するさまざまな方法が備わっており、この異常をきたした細胞は、自然免疫や獲得免疫などの免疫によっても排除されています。自然免疫では、「自分ではない」異物とみなしたがん細胞を、NK細胞などが攻撃します。また、獲得免疫では、自然免疫からがん細胞の情報を受け取り、指名手配さながらに体内のがん細胞を探し出し、T細胞などががん細胞を攻撃します。

 

※生き残るために性質を変化させるがん細胞※

しかし、がん細胞は生き残りをかけて常に性質を変化させながら、さまざまな方法で免疫によるパトロールや攻撃から逃れてさらに増えていきます。こうして大きくなったのが「がん」で、 免疫に対して手ごわい性質をもったがん細胞の集まりです。

 

※免疫から逃れるがん※

※免疫の目をくらませるがん細胞※

正常な細胞が変化してできたがん細胞は、その細胞の表面に目印(がん抗原と呼ばれるタンパク質)を持っています。免疫細胞は、この目印を見つけると、がん細胞を自分ではないもの(異物)とみなして攻撃します。すなわち、免疫細胞は、この目印がないとがん細胞を見つけることができません。そこで、がん細胞はこのような免疫の性質を逆手にとって、この目印を隠して身を潜め、免疫細胞による攻撃から逃れているのです。

 

※がん細胞にある「がん抗原」とよばれるタンパク質が、がん細胞の表面に位置して、「私(この細胞)はがん細胞です」ということを免疫細胞に伝えるための目印になっていると、がん細胞は免疫細胞からの攻撃を受けやすくなります。

 

※免疫のはたらきをブロックするがん細胞※

がん細胞は、自分の目印を隠すだけではなく、免疫がうまくはたらかなくなるような物質を出したり、免疫の働きをブロックする細胞が増えたりすることによって免疫のはたらきをブロックしています。こうして、がん細胞のまわりの環境を変えることも、「がん」が生き延びるための作戦のひとつなのです。

 

※がんの治療※

がんの三大治療として、がんを切り取る「手術」、がんに放射線をあてる「放射線療法」、抗がん剤などの薬を用いる「薬物療法」があります。からだに本来備わっている免疫のはたらきを利用する免疫療法は、第四の治療法と言われています。

 

また、がんの治療には局所療法と全身療法があります。局所療法には、手術と放射線療法が当てはまり、がんの場所が特定でき、そのがん細胞を取り除いたりする治療法です。

 

全身療法には薬物療法と免疫療法が当てはまり、主にがんが最初に発見された場所とは異なる遠くの臓器や組織に転移した際などに行う治療法です。

 

複数の治療法を組み合わせた治療のことを「集学的治療」と言います。

 

※がんの三大治療と免疫療法※

※手術※

手術では、がんが発生した部位(原発巣)、がんが転移していると考えられる転移巣(リンパ節や臓器など)を取り除きます。手術の目的は、がんを完全に取り除くことですが、がんによる症状を和らげるという側面もあります。手術の方法としては、メスでからだを切開する方法に加え、内視鏡や腹腔鏡などによる、からだへの負担が少ない方法もあります。がんにラジオ波などの高周波電流を当てて焼く方法もあります。手術後の合併症として、感染や出血などが起こることがあります。

 

※放射線療法※

放射線療法では、がん細胞を死滅させたり、がんによる症状を和らげたりするためにがんに放射線を当てる治療法です。治療方法はがんの種類や状態によりますが、からだの外側から放射線を当てる外部照射のほか、放射線を発する器具を体腔(胸部や腹部の内臓が入っている場所)や体内のがんの周辺において放射線を当てる織内照射といった方法もあります。副作用には、治療中や治療直後に現れる副作用と、治療終了後にかなり時間がたってから現れる副作用があります。

 

※薬物療法※

薬物療法は、局所療法では対応できないようながんに対する全身療法の一つです。化学療法や分子標的治療薬、ホルモン剤などの薬を使って治療します。

また、手術の前に薬物療法を行い、大きながんを手術できるような小さなサイズにしたり、手術後に薬物療法を行い、からだのなかに残っている目に見えない小さながん細胞が増えないようにしたりします。薬物療法は、放射線療法と一緒に行うこともあります。薬の投与にともなって、さまざまな時期に副作用が現われますが、どのような副作用が出るかは使う薬によって異なります。

 

※免疫療法※

免疫療法は、局所療法では対応できないようながんに対する全身療法の一つです。免疫のはたらきを利用した治療法であり、免疫ががん細胞を攻撃するはたらきをパワーアップさせる方法と、がん細胞が免疫のはたらきを抑えている原因を取り除く方法が効果的と考えられています。

 

※主ながん免疫療法※

※免疫療法の二本柱は、免疫細胞による攻撃力の強化と、がんによってブレーキがかかった免疫の回復※

がん免疫療法には、がんに対して免疫による攻撃力を高める方法と、がんによってブレーキが かかった免疫の攻撃力を回復させる方法(免疫チェックポイント阻害療法など)の二本柱があ ります。

 

免疫細胞による攻撃力を高める治療法にはさまざまなものがありますが、大きく分けて、患者の体のなかでがんに対する免疫反応が起こるようにする能動免疫療法と、がんを攻撃する免疫細胞や、がんを攻撃する武器となる抗体を体の外でたくさん作ってから患者へ投与する受動免疫療法があります。

 

※能動免疫療法※

※体内での免疫反応を引き起こす、能動免疫療法※

体のなかで免疫を高めて、がんに対する攻撃を引き起こす方法は、能動免疫療法と呼ばれています。「非特異的免疫賦活薬」という薬を使う方法、「サイトカイン」という物質を体に取り入れて免疫細胞を活発にする方法(サイトカイン療法)、がんの目印である「がん抗原を投与する治療法(がんワクチン療法)」、がんの情報をT細胞に伝える情報伝達役である「樹状細胞」を使った治療法(樹状細胞療法)」などがあります。

 

※免疫療法として最初に開発された非特異的免疫賦活薬※

非特異的免疫賦活薬は、免疫療法の先駆けとして1970年代以前から研究されてきた免疫療法です。これには、微生物やキノコなどから取り出された成分でつくられた薬や化学物質があります。これらの薬がどのように免疫力を高めているのかについてははっきりとわかっておらず、 これらの薬のみでは効果がないことから、手術、放射線療法、薬物療法(抗がん剤など)と  一緒に使われます。

 

※非特異的免疫賦活薬

・微生物やキノコなどから取り出した成分でつくられた薬や化学物質

・免疫力をアップさせる

・手術、放射線療法、薬物療法などと一緒に使う

 

※異物を攻撃する免疫細胞を活発にするサイトカイン療法※

サイトカイン療法は、1980年代に入ってから考えられた免疫療法です。異物を攻撃する免疫細胞を活発にしたり増やしたりするはたらきをもつ物質(サイトカイン)を体に投与して、免疫細胞のがんに対する攻撃力を高めることを目指しています。インターフェロンやインターロイキンと呼ばれる種類の薬が使われます。

 

※サイトカイン療法

・サイトカインという物質を体に投与して、免疫細胞を活発にはたらかせる

・インターフェロンやインターロイキンという薬を使う

 

※がん抗原を使ったがん治療法(がんワクチン療法)※

がんワクチン療法では、がんの情報をワクチンとして用いて免疫細胞を刺激します。がんの情報として患者さんのがん細胞を用いる方法と、人工的に合成したがん抗原を用いる方法があります。どちらにしても、ワクチンにより体のなかでがん抗原特異的T細胞が活性化され、がん細胞 を攻撃する能力が高まります。

 

※一般にワクチンとは、ウイルスや細菌などによる感染症を予防する薬のことですが、がん細胞を攻撃するためのT細胞を活発にさせるはたらきをもつ、がんの目印であるタンパク質を用いて 免疫することを「がんワクチン」と呼んでいます。

 

※がんワクチン療法(がん抗原を使った治療法)

・がんの目印である「がん抗原」を投与して免疫細胞を刺激する

・「がん抗原」をつくるのに患者さんのがん細胞が必要な場合もある

 

※がん細胞の特徴を伝える情報伝達役である樹状細胞を使った樹状細胞療法※

樹状細胞は、第一防衛ラインの自然免疫が攻撃したがん細胞の情報を、第二防衛ラインの獲得免疫に伝えるはたらきをしています。「樹状細胞療法」は、自然免疫から獲得免疫に情報を伝える情報伝達役の能力を鍛えることによって、リンパ球による獲得免疫をさらにはたらかせることを目指した治療法です。

 

樹状細胞療法では、体から取り出した樹状細胞にがんの目印となるがん抗原の情報を覚えさせ、獲得免疫に関するリンパ球に対してがんの情報を伝える能力を鍛えてから、再び体に戻します。がん抗原の情報をもった樹状細胞を投与することによって、T細胞が体のなかで同じがん細胞を見つけ出して素早く攻撃できるようになるのです。この他に、がん抗原を使わずに樹状細胞を直接がんの中に注入する方法もあります。

 

※樹状細胞療法(樹状細胞を使った治療法)

・がん細胞の目印である「がん抗原」の情報をT細胞に伝える役割をもつ樹状細胞を使う

・樹状細胞にがんの目印「がん抗原」を覚えさせて体に戻す

・または樹状細胞を直接がんの中に注入する

 

※受動免疫療法※

※体の外で攻撃力を高めた免疫細胞や、人工的に合成した抗体を投与する受動免疫療法※

体のなかでは、がんによって免疫のはたらきにブレーキがかけられている状態のため、体の外で免疫細胞を増やしたりパワーアップさせてから体に戻したりする方法である受動免疫療法が期待されています。主に受動免疫療法は、リンパ球を用いる養子免疫療法である非特異的リンパ球療法、がん抗原特異的T細胞療法と、抗体療法に分けられます。

非特異的リンパ球療法は、免疫細胞であるリンパ球を体の外に取り出して増やし、攻撃力を高めてから体の中に戻す治療法です。この治療法にはいろいろな種類がありますが、中でもがん抗原特異的T細胞を使った治療法に期待が寄せられています。

 

※非特異的リンパ球療法※

1980年代には、患者さん本人の血液から免疫細胞を取り出して、サイトカインなどの刺激を与えパワーアップした免疫細胞(T細胞やNK細胞)を再び体に戻すLAK療法が注目されましたが、 その効果は十分ではありませんでした。

現在では、がん細胞のみに効果がより発揮できる治療法に移行しており、がん抗原特異的T細胞を使ったさまざまな治療法が期待され、開発が進められています。

 

※がんをみつける能力を人工的に持たせたT細胞を使って、がんへの攻撃力をさらに高めた次世代のがん抗原特異的T細胞療法※

リンパ球としてT細胞を使った治療法として、血液中のキラーT細胞を用いた治療法やTIL療法(腫瘍浸潤Tリンパ球を用いた治療法)が行われてきました。これらの治療法は、どちらも体か ら取り出したT細胞を活発にしてから再び体に戻します。血液中のリンパ球を用いた治療法では、取り出したT細胞にがん細胞の特徴を覚えさせてから体に戻します。すなわち、攻撃するがん細胞の情報を、攻撃の実行部隊であるT細胞にしっかりと伝えておくのです。一方、TIL療法では、 がん組織に入り込んで、がんの特徴を覚えているがん抗原特異的T細胞を使います。すでに異物 を見つけ出して攻撃する能力を持った免疫細胞を体の外で増やして、再び体に戻します。

これらの治療法も、効果が出る患者さんは一部に限られたため、より多くの患者さんに有効な 治療法が望まれていました。

 

※がん抗原特異的T細胞療法※

現在の最先端の研究では、遺伝子組み換え技術を用いて、がん抗原の受け皿であり、がん抗原に特異的な「T細胞受容体(TCR)」を持ったT 細胞を、体の外でたくさん作ることができるようになり、それらのT細胞を実際にヒトに投与した場合の効果が検討されています。

また、TCRの他にも「キメラ抗原受容体(CAR)」を持ったがん抗原特異的T細胞による治療法の研究も進み、効果が認められつつあります。

 

※がん抗原特異的T細胞療法(T細胞を使った治療法)

・がん細胞を見つけ出して攻撃するT細胞のはたらきを利用する

・血液T細胞療法:血液から取り出したT細胞にがん細胞の特徴を体の外で伝えて、体に戻す

TIL療法:すでにがん細胞の情報をもっていてがん細胞を攻撃できるT細胞をがんから取り出して、体の外で増やして体に戻す

TCR/CAR-T細胞療法:次世代の治療法として、人工的にTCRCARを持ったがん抗原特異的 T細胞を作り、体に投与する治療法の開発が進められている

 

※がんを直接攻撃する抗体療法※

免疫細胞のうち、B細胞は「抗体」という武器を使って異物を攻撃しています。この抗体を人工的に合成して薬として利用する治療法である「抗体療法」が2000年代から盛んに開発されてきました。抗体には、攻撃に使う武器としての役割だけでなく、本来の特徴として、たくさんの異物から目印のある異物のみを見分けることができます。すなわち、抗体は、正常な細胞にはなく、がん細胞のみにある物質や、正常な細胞よりもがん細胞の方によりたくさんある物質などを見分けてピンポイントで結合します。

 

これらの特徴を利用して、がん細胞に対する抗体を利用すると、抗体を目印として集まってきた免疫細胞のはたらきによって、がん細胞は攻撃されます。

 

また、抗体ががん細胞に結合すること自体によって、がん細胞が増えるのを食い止める場合もあります。

 

最近では、がん細胞が増えていくために栄養を取り入れている血管が増えるのをブロックする 抗体なども開発され、実際のがん治療に利用されています。

 

※がんを直接攻撃する抗体療法(抗体を使った治療法)

B細胞が作り出す、異物を攻撃する武器である「抗体」を使う

・がん細胞の特徴に合った抗体を人工的に合成し、薬として利用する抗体を目印にして集まる免疫細胞のはたらきを利用して、がん細胞を攻撃する

・抗体ががん細胞に結合すること自体により、がん細胞が増えるのを食い止める場合もある

・がん細胞が増えていくために必要な血管が増えるのをブロックする抗体が開発されている

 

※がんによってブレーキがかかった免疫の攻撃力を回復させる治療法※

※免疫チェックポイント阻害療法※

これまでの免疫療法では、免疫機能の攻撃力を高める方法が中心でしたが、最近、がん細胞が免疫のはたらきにブレーキをかけて、免疫細胞の攻撃を阻止していることがわかってきました。そこで、がん細胞によるブレーキを解除することで、免疫細胞の働きを再び活発にしてがん細胞を攻撃できるようにする新たな治療法が考えられました。その中でも、現在では免疫チェックポイントと呼ばれているブレーキ役の部分(PD-L1PD-1の結合)を阻害する薬(免疫チェックポイント阻害薬)が実際の治療で使用されるようになっています。

 

※がんによってブレーキがかかった免疫の攻撃力を回復させる治療法(免疫チェックポイント阻害療法)

・がんが免疫細胞に対してかけているブレーキを解除する新たな治療法

・がん細胞によりブレーキがかかり、はたらきが弱くなったT細胞が、再び活性化してがん細胞を攻撃し、がん細胞が増えるのを食い止めることができると考えられている

 

※いつ、だれによって発明されたのか?※

京都大学の本庶佑教授によって発見され、小野薬品工業と本庶教授とが共同研究して、オプジーボが生まれました。

 

オプジーボはバイオ医薬品であり、小野薬品工業はバイオ医薬品の製造技術を持っていないため、米国のバイオベンチャー、メダレックスと2005年に提携しましたが、そのメダレックスが 2009年にBMS(ブリストル・マイヤーズスクイブ)に買収されたため、2011年に小野薬品工業 とBMSはオプジーボに関して全面提携しました。

 

※価格※

オプジーボは2014年に皮膚がんの治療薬として発売したが、肺がんの治療でも公的保険が適用されるようになり販売額が急増。1人あたり年間およそ3500万円の費用がかかり、保険財政に大きな影響を与えるとして、昨年2月に100ミリグラムあたり約73万円から約36万円へ値下げし、4月から約28万円となる、201811月からは17万円の価格(料金)で購入できる事が決定しました。

 

オプジーボの抗がん剤治療薬は、『保険適用』の癌(ガン)もあり、現在、7種類(悪性黒色腫・肺癌・腎癌・ホジキンリンパ腫・頭頸部癌・胃癌・悪性胸膜中皮腫)の病名で使用できるようになりました。

また『保険適用』の癌であれば高額療養費制度が適用できて、1か月約8万円の価格(料金)

でオプジーボの治療薬を使用できるようになっています。

 

※まとめ※

オプジーボが画期的な薬であることは間違いありません。ただし、すべての患者に有効な、夢の薬ではありません。

この種の薬剤は通常、点滴により投与されるため、その作用は全身に及びます。自分の組織に対する免疫反応を抑制していたブレーキの解除が全身で起こるとしたら、本人の遺伝的な背景や環境要因によっては、あらゆる臓器に過剰な免疫反応が起こる可能性があります。

 

実際に、患者に現れる副作用はさまざまで、間質性肺炎、甲状腺機能異常、劇症1型糖尿病、自己免疫性腸炎、重症筋無力症などの重大な副作用が10%の患者にみられたという報告もあります。したがって、投与の可否は主治医によって慎重に判断され、投与開始後には、注意深い経過観察が行われます。

 

 

免疫チェックポイント阻害薬の効果は人ごとに異なります。顕著な効果が見られる患者がいる一方で、効果がない患者や、急速な悪化を経験する患者もいます。患者は医師と十分に話し合って、自分が望む毎日と人生を送るために最も適した治療法を選んでほしいと思います。

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